アパートの一室を住居として貸したのですが、借主がそこを事業の事務所としていることがわかりました。賃貸借契約を解除することはできますか。

契約を結ぶまでの経緯、用法遵守義務違反についての貸主と借主の交渉の経緯、用法遵守義務違反が借家に及ぼす影響、その他の住民への迷惑の有無などを総合的に考慮し、貸主と借主の間の信頼関係が破壊されているといえる場合には、解除することができます。
賃貸借契約は、通常、使用方法を定めて締結されるものであり、借主は、この用法に従った物件使用をしなくてはなりません。これを用法遵守義務といい、これに反し、もはや信頼関係が破壊されたといえる場合には、賃貸借契約を解除することができます。
信頼関係の破壊を認めた裁判例では、使用目的を会社の事務所として賃貸借契約を締結したにもかかわらず実際にはテレホンクラブとして使用していた事案があります(東京地判昭和63年12月5日)。この事例では、借主の営業によりビル全体の品位が損なわれたこと、警察の捜索を受けるなどする恐れがあること、他の入居者からも苦情が出ていることなどの事情から、もはや信頼関係が破壊されたとの判断がなされました。他には、使用目的を会社の事務所として賃貸借契約を締結したにもかかわらず、実際には暴力団事務所としてしようされ、頻繁に暴力団関係者らしき者が物件に出入りし、他の住民からも苦情が出され、さらに他の暴力団との抗争で物件のドアに銃弾が撃ち込まれたという事案についても、信頼関係の破壊が認められています(東京地判平成7年10月11日)。
また信頼関係の破壊を認めなかった裁判例としては、使用目的を住居としていたにもかかわらず実際には学習塾を営んでいた事案があります(東京高判昭和50年7月24日)。この事案では、学習塾の生徒数が6名と少数であり、借主が部屋に絨毯をしくなどして汚さないように配慮していたこと、学習塾として使用していた2か月の間に建物に傷や汚れがついたとは認められないこと、現在は学習塾を廃業して建物を住居専用に使用していることなどから、いまだ信頼関係の破壊はないと判断されました。

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