契約の解除の意思表示は撤回することができないとされています(民法540条2項)。解除は解除する側の一方的な意思表示ですので、これを自由に撤回できるとすると、相手方の立場が不安定になるからです。
ですから、原則として、賃借人は解約予告を撤回できません。解約予告の撤回ができない以上、賃貸人は、解約予告期間の満了後に賃借人に明け渡しを求めることができます。そして、解約予告期間満了後も賃借人が退去しない場合は、退去するまでの間、賃料相当の使用損害金を請求することができます。ただ、場合によっては、契約の相手方の方でも、解除の意思表示を撤回して契約を続けてもらった方が好都合ということもあります。
そのため、相手方の承諾があれば解除の意思表示を撤回することができるとされています。したがって、賃貸人の側でも、賃借人に引き続き借りてもらいたいという場合には、解約予告の撤回を認めて、改めて賃借人との間で賃貸借を続ける合意をすることが可能です。