アパートの一室を夫婦に貸していたのですが、その夫婦が離婚してしまいました。賃借人は、夫の名義となっていたのですが、夫は引っ越してしまい、現在は元妻が居住している状態です。契約関係はどうなるのでしょうか。

離婚後、財産分与がなされていない状態であれば、契約の当事者は依然として元夫です。ですから、賃料の請求等は、夫に対してすべきこととなります。
離婚後財産分与によって、元夫から元妻に対して、アパートの賃借権が譲渡された後であれば、元妻が契約当事者となりますので、以降は元妻に対して賃料等を請求していくこととなります。賃借権の譲渡は、原則としては無効(民法612条1項)であり、解除事由となります。これは賃借権の譲渡が、賃貸人との関係で背信性高く、契約の基礎である貸主と借主の信頼関係を破壊するものであると考えられているからです。もっとも、財産分与によって借主から配偶者に対して賃借権が譲渡されるような場合には、もともと配偶者は目的物件に終生居住することのできるはずのものであるとしてこのような背信性がないとされる場合が多いのです(大阪地裁昭和41年12月20日判タ208号188頁)。ですので、元妻による物件の使用状況が従前とそう変わらず、家賃も支払い続けているような場合、財産分与による賃借権譲渡のみを理由として賃貸借契約を解除することはできず、財産分与後については、元妻を借主として賃料等の請求を行っていくことになります。
なお、同様のことは内縁解消の場合にもあてはまります(東京高裁昭和33年8月19日判時163号16頁)

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