アパートの一室を住居として貸していたのですが、先日借主が亡くなられました。借主は内縁の妻と同居しており、その方は現在も居住しています。契約関係はどうなるのでしょうか。

亡くなられた借主の方に相続人がいるかどうかで法律関係はかわります。
まず亡くなられた借主の方に相続人がいない場合であれば、内縁の妻は、賃貸人が相続人なしに死亡したことを知った日から1か月以内に賃貸人に対して反対の意思を表明しない限り、賃借人の権利義務を承継します(借地借家法36条、旧借家法7条の2)。内縁の妻の方から、期限内に「賃貸人としての権利義務を承継しない」との意思表明を受けない限り、以降の借主は内縁の妻ということになり、契約関係としての権利義務、既に発生した賃料債務等も内縁の妻に帰属することとなります。
次に亡くなられた方に相続人が居た場合です。賃借権も相続の対象となりますので、この場合には、新たな賃借人は相続人であるということになります。内縁の妻は、この相続人の賃借権を援用することができます(最判昭和42年2月21日民集21巻1号155頁)。賃料等の請求は、相続人に対してなすこととなるが、内縁の妻は居住を継続できるということです。もっとも、内縁の妻による賃借権の援用は、あくまで相続人の権利を前提とするものです。ですから、内縁の妻と相続人がトラブルになっている場合、つまり相続人が相続放棄をしたり、家主との間で賃貸借契約を合意解除するなどした場合には、内縁の妻の居住継続が問題となります。裁判例では、賃貸人と相続人との間で合意解除について権利濫用として内縁の妻の居住継続を認めた例(東京地判昭和63年4月25日判時1327号51頁)もあり、このような場合には賃貸人が賃料を誰にも請求できないのに、内縁の妻の居住を認めなければならないという状態になりえます。ですから合意解除等をしようと考えているときは、予め専門家に相談をすることをお勧めします。

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