アパートの一室を貸しているのですが、アパートの内装に使われた新建材のためにアレルギーになったとして、治療費や慰謝料等の損害賠償を求められています。請求に応じなければならなのでしょうか。

新建材とは、新しい素材や技術によって作られた建築材料の総称で、たとえば、ビニールやプラスチックを利用した建材などがあります。新建材は、デザインが豊富で低コストなどのメリットがありますが、新建材を使用した場合、ホルムアルデヒドなどの化学物質の発散によって、頭痛、目がチカチカする、のどの痛み、鼻水、喘息、湿疹などの症状が引き起こされることがあります。いわゆるシックハウス症候群と呼ばれる症状です。では、賃貸しているアパートの内装に使われた新建材が原因で賃借人がシックハウス症候群になった場合、賃貸人は損害賠償義務を負うことになるのでしょうか。


建物賃貸借契約においては、賃貸人は、賃借人に対して賃貸建物を通常の使用に適する状態で提供する義務があります。居住を目的とした建物賃貸借であれば、賃貸建物を賃借人の居住に適した状態で提供しなければなりません。したがって、内装材として使用した新建材から有害物質が発散されていて、賃貸建物が社会通念上居住に適した状態になっていない場合には、賃貸人に債務不履行があるということになります。そうだとすると、賃貸人は損害賠償責任を負う可能性があるといえます。


ただ、債務不履行による損害賠償請求が認められるには、賃貸人の故意又は過失が必要となります。故意又は過失の有無は、個別の事案ごとに判断されることになりますが、実際に賃貸人に故意又は過失があったと認められるケースはそれほど多くありません。建物の建築にあたり、賃貸人や施工業者に新建材は一切使わないことを要求するのは現実的でなく、また、標準的な新建材を使用している場合にはシックハウス症候群発症の可能性を予見することも通常は困難だからです。したがって、実際に賃貸人に損害賠償責任があると認められるケースはそれほど多くないといえます。

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