賃借人が賃料を滞納しているので、賃貸借契約を解除して建物明渡請求訴訟を提起するつもりです。占有移転禁止の仮処分という手続があると聞いたのですが、これはどのような場合に必要となる手続ですか。

占有移転禁止の仮処分とは、賃借人以外の者に対して建物明渡しの強制執行をする可能性がある場合に必要となる手続きです。建物明け渡し請求訴訟を提起する前に占有移転禁止の仮処分をすれば、賃借人だけでなく、賃借人以外の建物占有者に対しても、賃借人に対する建物明渡請求訴訟の勝訴判決に基づき強制執行手続により賃貸物件の明渡しを強制できます。

たとえば、賃借人が訴訟のあとに建物を別人に住まわせそうである、賃借人以外の人が多く出入りしている、そんな場合に占有移転禁止の仮処分をする必要性が高くなります。
なぜ占有移転禁止の仮処分をしなければならないのでしょうか。判決の効力は、原則として訴訟の相手方(ここでいえば賃借人)にのみ及びます。賃借人との建物明け渡し請求訴訟で勝訴判決をとったとしても、強制執行の際に建物を占有している者が賃借人ではないとき、建物明渡の強制執行はできないのです。

そこで、建物の占有が賃借人以外の者に移ってしまわないようにする手続が占有移転禁止の仮処分です。建物明け渡し請求訴訟の提起前に、あらかじめ裁判所に占有移転禁止の仮処分を決定してもらい、執行官が実際に賃貸物件に出向いて公示書を貼り付ける保全執行をします。そのうえで、建物明け渡し請求訴訟の判決に承継執行文を付与してもらうことで、保全執行のあとに建物を占有し始めた者へも、例外的な場合を除き、建物明け渡しの強制執行ができるようになります。

 

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